No.280

冬の風物詩到来

No. 280 〔12年以上前〕 , マーケティングから , by 食と農ブログ Icon of admin
やってきた!今年もついにやってきた!

それに気がついたのは、昨日のこと。
いつも帰りしなに立ち寄るスーパー。

あれっ、いつもと何かが違う。
あっ!これまではなかったプレハブ小屋があるではないか!

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品物が置いているわけでもない、この寒空に、外にむき出しの事務所がある訳がない。では、これは一体・・・。

[B:[C:deeppink:!!!ハッ!!!

この時期、天空には稲妻が走り、風がゴーゴーーと吹き荒れて、みぞれと雪が降り交じる。
この恐ろしいほどに不安定な天候が、それの訪れを告げる。

そろそろだなや~。
秋田県人が心躍らせ待ち望んでいたもの。

それは、ハタハタです!

察するに、このプレハブ小屋は、ハタハタ販売の特設ステージで、ここにハタハタの入った箱がどっさりと積まれるのです。
ここに買いにくるお客様は、一匹、二匹なんて細かい買い方はせず、買う単位は〝箱”。
その光景は、ものすごくエネルギッシュで、性格が穏やかでおとなしい県民と言われている秋田県人がいつになく熱く燃えたぎる様を映し出す。

昭和の古き良き時代を思い出す。
私が幼かった頃は、この季節になると玄関にハタハタが木箱で積まれていた。最盛期の頃は10箱以上積まれていたと思う。
子どもの私は、毎日毎日食卓に登場するハタハタに、正直うんざりしていた。もっと子どもが好きなハンバーグとかシチューとか食べたいよう。そう言いたかったが、家族は、冬の食べ物はハタハタしかない!と言わんばかりに、一人で5匹も6匹も食べるのだ。
確かに身は少なく、味は淡白。5,6匹は食べられそうな気もする。だからと言って、形や味を変え毎日、毎日だよ!
この現象は我が家だけのものではなく、その当時秋田県全域で起こっていた現象であると推測する。

それからだんだんとハタハタが獲れなくなり、値段も急騰した。ハタハタはいつの間にか高級魚になった。ひと箱何百円の時代から、1匹1,000円もする魚になってしまったのである。そして、ついには禁漁。

食べられなくなると、人はその価値に気付く。あれほどもううんざりと言っていたのに、季節になると食べたくて食べたくて仕方なくなる。

あの粘るぶりっこを口にじゅるじゅるっと惜しげもなく頬張りたい。
焼いて食べるなら、味噌田楽がうめっ!
鍋なら、しょっつるが代表であるが、味噌や醤油仕立てでもうめっ!

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そして、大人になって覚えた味。
酒の肴には、ハタハタ寿司が最高にうめっ!
昔から冬の秋田の貴重なタンパク源、発酵と保存食の代表である。

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あんなに積まれていた木箱がいつの間にかなくなっていたのは、単に煮たり焼いたりして食べていただけではないのだと大人になってわかった。
厳しい秋田の冬を乗り越える昔からの伝統、食文化がどの家庭にも根付いていたのだと。

だから、何年たっても食べたくなる。
ふるさとを離れても恋しくなる。

週末はスーパーの特設ステージが、ハタハタを箱買いするお客様で賑わうだろう。
自宅で冬の秋田の食を存分に楽しむために、そしてふるさとを離れた家族のために。

〔 1303文字 〕

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