No.217

明日への一歩

No. 217 〔13年以上前〕 , マーケティングから , by 食と農ブログ Icon of admin
未曾有の大災害。
今、私にできることはなんなのか。

国内観測至上最大級の規模を記録した東北地方太平洋沖地震。

たった一日の停電に右往左往。
その不便さ、不安感は今まで経験したことがないくらい大きなものでした。

電気が復旧し、テレビから流れてくる被災地の映像は、余りにも悲惨で、ただ、ただ言葉を失うばかり。
今、自分が生きていること、電気、ガス、水道が使えることは、あたりまえのことだと思っていたのに、失ってはじめてそれがあたりまえのことでないと気づかされました。

今、自分が置かれている状況は被災地の方に比べたら余りに幸せです。
多少の不便には耐えよう、小さいながらも、今自分にできることは何かと問いかけながら日々生活しています。


今年は1月に、これまた観測至上最高の積雪量を記録し、県内一の果樹王国を誇る横手の果樹園への被害は深刻なものになりました。

今、果樹農家さんが一番欲しているのは『人手』だということがアンケート調査の結果判明しました。地震の被災地への救援ももちろん必要です。でも、今、身近に横手の『食と農』を支える農家さんがSOSを発している。その状況に私たちも何か手助けをしたいと、横手市と農協では、「果樹雪害対策支援ボランティア」への協力を呼びかけ、15日~17日の3日間、ボランティアによる手助けを実施しました。

私が向かった先は、平鹿町醍醐の野中地域と馬鞍地域の2箇所です。

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雪の多さに呆然。
そして、リンゴの木を目の当たりにし、その被害の大きさに絶句。

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リンゴの木から悲鳴が聞こえてくるようです。

「今、重い雪を退かせてあげるからね。」という思いで向かったものの、果樹農家さんからは、「ほとんどの樹はもうだめだ。雪が消えたら半分は切ろうと思ってる。折れていない樹を探して作業してください。」と言われ、折れていない樹を探すが・・・、ない。

私の心も折れそうになりました。

なんとか助かりそうな樹を探し、雪を掘って枝を出す。

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スコップで枝を傷つけないよう、手で丁寧に雪を取り除きます。
枝が出てくると、私の重い心も少しだけ軽くなります。

私が必死で雪を取り除いたりんごの樹は、雪が解けたら切ってしまう樹だと農家さんが言いました。
「何にもお役に立てなくてすみません。」
私は自分の無力さに、自分が腹立たしくなりました。

そんな私に農家のお母さんは、「あなたが、慣れない作業の中、一生懸命やってくれたのは伝わったから。ありがとうなぁ。」
そう言って、私の肩をポンとたたき雪の中を力強く歩いていきました。

その後姿は、少しもこの厳しい状況に打ちひしがれている様子はなく、むしろ力強く立ち向かっているようなパワーを感じました。

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そして、重く降り積もった雪の下でも新しいいのちが芽吹いていました。

降り積もった雪の中を歩くのは、時に足を取られたり、ぬかったりと、前に進むのに時間も、体力もかかります。
私は、樹園地からの帰り道、何度も雪に足を取られ、つまずきながらも次の一歩を力強く踏み出そうと心に誓いました。

〔 1297文字 〕

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