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全国発酵食品サミットin横手 発酵の世紀 〜発酵食品は人類を救う〜

全国発酵食品サミットin横手
主催/横手市・よこて発酵文化研究所
共催/秋田魁新報社
開催日時/平成19年3月29日(土)〜30日(日)


 発酵食品全般をキーワードにした全国初のサミット
 麹文化薫る横手市。未来に向けた豊かな発酵文化の継承と発展を目的とした「全国発酵食品サミットin横手」 が3月29日(土)と20日(日)の2日間、市内の秋田ふるさと村で行なわれました。
 当日は前日までの穏やかな天気から一転、3月下旬にしてはやや肌寒い「やっぱり北国横手ね」という天候 となりましたが、発酵・食文化の第一人者が一堂に会する全国でも初めての試みとあって、全国各地から 産業・教育部門で発酵に携わる方々をはじめ、市内や近隣市町村からも多くのお客様がいらっしゃいました。
 開催期間中、会場である秋田ふるさと村の来場者は2日間で約15,000名を数え、講演会場もお客様で 常時ほぼ満席というご盛況をいただきました。

オープニング
全国発酵食品サミットin横手
主催者挨拶 【横手市長 五十嵐 忠悦】
開会宣言 【よこて発酵文化研究所長 谷 金彌】
横手萬歳・梵天若衆・仁井田番楽
鍋倉囃子・秋田民謡
総合司会 【NHKキャスター臼井昭子さん】
全国発酵食品サミットin横手

発酵料理トークショー
俳優 永島 敏行 氏
1956年生まれ。千葉県出身。
映画・テレビ・ラジオ・舞台などで幅広く活躍中。農業に強い関心を持ち、1993年より横手市十文字地域で 仲間たちと米作りを続けている。また、生産者と消費者との交流の掛け橋として東京有楽町で「青空市場」を主催し 精力的に活動を行なっている。
全国発酵食品サミットin横手

全国発酵食品サミットin横手
ジュニアベジタブル&フルーツマイスター
王 理恵 氏
1970年生まれ。東京都出身。
スポーツキャスター、コメンテーター、ラジオ、エッセイ等で幅広く活躍中。ジュニアベジタブル&フルーツマイスター (野菜のソムリエ)、雑穀エキスパートの資格を有し、秋田県においても「あきたベジフル大使」を務め、野菜の普及に 努めている。世界のホームラン王として知られる王貞治氏の二女。

上畑温泉さわらび 総料理長 山本 省三 氏
1945年生まれ。兵庫県出身。
全国日本料理コンクール郷土料理部門において、文部・労働・農林・運輸の各大臣賞を受賞。2003年度には日本料理 において「現代の名工・卓越」に選出される。2006年黄綬褒章を受章。2000年より横手市に在住。常に斬新な 感覚で発信される郷土創作料理は多くのファンを引き付けて離さない。
全国発酵食品サミットin横手
 発酵料理トークショーでは、横手の食と発酵の関わりについて、トークが展開されました。はじめに横手市出身である 総合司会の臼井昭子さんから、横手はリンゴ、スイカ、アスパラなどの生産が県内第一位の野菜王国であること、 麹屋さんや作り酒屋さんの数が多く、伝統的な発酵文化が根付くまちという紹介がありました。

 永島さんは、横手のバリエーション豊かな漬物について触れ、「毎日食べて飽きないのが漬物。秋田は漬物の宝庫。 発酵文化は秋田に根付き、秋田の食文化を支えている」と、横手市の農家との交流を通しての感想を話していました。

 「秋田ベシフル大使」でもある王さんは、「野菜は意識するとしないとでは摂取する量がまったく違ってくる。 発酵食品である味噌と野菜の相性が良いので、味噌汁に冷蔵庫の野菜をたくさん入れて食べてみて」と、アドバイス。

 山本さんは、「料理人から見ても、発酵食品は地域に根付いたもので、伝えていきたい伝統の一つ。地元の食材を 見つめ直し、発酵食品を多く取り入れていけば料理の幅は大きく広がる」と、料理人ならではの観点から指摘。

 引き続き、この日にあわせて山本さんが創作したという、地鶏をヌカ漬けにして米ヌカも一緒に味わう 「ビタミン鶏」や、サミットにあわせて醸造したという大豆麹と麦麹を合わせた調味料「ひしお」を使用した ハタハタ漬けや、またたび漬けなどの披露があり、会場の皆さんと一緒に試食をしながら秋田の発酵食品の 奥深さについて語り合いました。

記念講演 「発酵の文化圏」
国立民族学博物館名誉教授 石毛 直道 氏
1937生まれ。千葉県出身。
京都大学卒。農学博士。
現在国立民族学博物館名誉教授。
民族学、文化人類学の観点から、アフリカ・トンガ・西ニューギニアなど世界中で幅広いフィールドワークを行い、 世界の食文化を研究する第一人者。執筆、講演などに活躍中。
主な著書に「食生活を探検する」「食いしん坊の民族学」「ニッポンの食卓 東飲西食」「麺の文化史」など多数。 第7回渋沢賞・大阪文化賞など多数の受賞がある。
全国発酵食品サミットin横手

 その地にある文化の違いで、発酵食品は食品とも腐敗ともなりうる。ヨーロッパには「アンチョビ」などの 発酵食品があるが、魚の発酵食品を食べる習慣はほとんど根付いていない。
 日本国内でも納豆については関東と関西で好き嫌いが分かれる。なぜなら発酵食品にはクセやニオイがあり、 文化によって受け取り方が違ってくるからである。
 ヨーロッパで最も日常的な発酵食品はパンやチーズ、ヨーグルトなどであるが、東アジアでは漬物や醤油が 発展した。
 日本は特に発酵技術が発達しており、食品から薬品まで幅広く活用されている。まさに、「発酵食品は人類を救う」 と言える。

講演 「食と健康 〜国民の盛衰は食べ方にあり〜」
全国発酵食品サミットin横手
宮城大学食産業学部教授 鈴木 建夫 氏
1943年生まれ。宮城県出身。
東北大学大学院修了。農学博士。
現在宮城大学教授。
東北大学農学部を皮切りに、米国国立衛生研究所客員研究員、農林水産省研究開発課長を歴任。 食品総合研究所所長を経て、2001年より理事長。2004年より現職。食品科学全般に精通しているが、 中でも社会科学と技術との連携、地域食産業の振興、高齢化社会の食、食育に造詣が深い、日本型食生活の中に 「健康」を探っている。著書に「食品機能研究法」共編著。

 日本では古来、食は仏法にも繋がり、作法としても学ぶものでもあった。しかし、日本人の食生活はここ数十年で 劇的に変化しており、それが人の味覚にも影響を与え、微妙な味加減がわからなくなってきている。
 これからは、遺伝子組み替え食品の普及なども考えられる時代。消費者自身が食品の安全性を見極める力が 必要になってくる。
 現在、全食品の25パーセントが廃棄と言われるが、塩分の多い食品を安易に肥料化しようというのは適策ではない。 リスクのつきまとわない食品は、もはやない。

基調講演 「発酵と人類の知恵」
東京農業大学教授 小泉 武夫 氏
1943年生まれ。福島県出身。
東京農業大学卒。農学博士。
現在、東京農業大学教授・鹿児島大学客員教授
広島大学客員教授。
全国地産地消推進協議会会長(農水省)、食糧自給率向上推進協議会会長(農水省)、農水省政策研究所客員研究員など 要職を兼務し、新聞やテレビ、ラジオ等で全国的に幅広く活躍中。著書は単著96冊、共著23冊を数える。 日本発明協会各賞をはじめ、随筆「中国食材考」によるベストエッセイスト等受賞多数。
全国発酵食品サミットin横手

 発酵とはマジックのように、見えない微生物によって引き起こされるもの。見えないからこそ、より魅力的に感じる。
 そもそも食とは、人類の遺産であり、一度消えた食文化はなかなか復活するものではない。だからこそ、 地域に隠れた食材・加工方法を伝えていくことが大切だ。
 日本には、酒、味噌、醤油、酢、みりん、鰹節など発酵食品が数多く存在する。このことには、湿度が高くカビが 繁殖しやすいという日本の気候が関係している。
 日本では発酵をいかして「爆薬」づくりをしていた時代もあるという。まさに世界で類をみない多様性を持った 発酵の文化といえる。

講演 「魚の発酵食品」
全国発酵食品サミットin横手
東京海洋大学名誉教授 藤井 建夫 氏
1943年生まれ。京都府出身。
京都大学大学院修了。農学博士。
現在東京海洋大学名誉教授。
山脇学園短期大学食物科教授。日本食品衛生学会会長。日本食品微生物学会理事、日本伝統食品研究会会長、 内閣府食品安全委員会専門委員ほか。食品微生物学、とくに水産発酵食品の微生物および食中毒・腐敗菌などの 制御に関する研究で著名。また、微生物や酵素を巧みに利用した発酵食品の素晴らしさ、面白さを全国に紹介している。 主な著書に「魚の発酵食品」「塩辛・くさや・かつお節(増補版)」等。

 水産物は漁獲時期が限定されており、鮮度低下が起こりやすいために発酵食品ができた。発酵とは、微生物が糖分に 付きアルコール等を作るために起こるもので、人が好ましく思うかどうかで発酵か腐敗かが決まる。食生活や嗜好、 味付けの変化、簡易製法の普及、利益重視の流通などが広がる現代において、今にわかに伝統食品が注目される ようになってきた。
伝統食品とは先人たちの知恵、いわば「知恵の詰まった玉手箱」である。伝統食品を伝承していくことは、その土地の 知恵を伝承することであり、食育にもつながっていくものだと思う。

発酵食が醸すときめきの宴 交流会
 日程1日目の終了後、秋田ふるさと村から横手市内のホテルに会場を移し交流会が開催され、各分野から約300名が 参加し、それぞれの発酵談義をさらに発酵させ、交流を深めました。
 市内6蔵元の樽の鏡開きで盛大にスタート。会場にはアユの魚醤を使用した創作料理屋や振舞い酒、横手のアスパラを 練りこんだ麺を使った横手やきそばなど、発酵文化薫るまち横手にちなんだ、たくさんの料理や特産品がズラリと 並びました。
 また、地元民謡歌手、和賀由里子さんによる秋田民謡や山内杜氏による伝統の酒の仕込み歌披露、
全国発酵食品サミットin横手
地元の農家さんらによる餅つきの披露なども行なわれ、交流会に花を添えてくださいました。会の中で、 よこて発酵文化研究所の顧問を務める小泉武夫教授より、今回講師として参加いただいた石毛直道教授と 鈴木建夫教授、藤井建夫名誉教授を同研究所の名誉顧問に任命したいというサプライズ提案がありました。 席上で五十嵐市長から名誉顧問証が手渡され、ご快諾いただきました。三氏には今後、横手の発酵文化の 発展や発信のお手伝いをしていただくことになります。

パネルディスカッション
■コーディネーター
東京農業大学教授 小泉 武夫氏
全国発酵食品サミットin横手
■パネラー
秋田大学教育文化学部教授 長沼 誠子 氏
秋田県湯沢市出身。
味覚教育を取り入れた食の教育プログラムを開発。秋田県における米食文化の調査研究を行なっている。
全国発酵食品サミットin横手
(株)あら与代表取締役 荒木 敏明 氏
福井県越前市出身。
石川県の伝統食「ふぐの卵巣のヌカ漬け」をつくる老舗、あら与7代目店主。
全国発酵食品サミットin横手
(株)安藤醸造代表取締役社長 安藤 大輔 氏
秋田県仙北市出身。
味噌・醤油づくりにおいて天然醸造・無添加にこだわる。みちのくの小京都 角館の地域づくりにも貢献。
全国発酵食品サミットin横手
日の丸醸造(株)主任 庄司 隆宏 氏
宮城県仙台市出身。
横手市にある酒蔵の蔵人。酒をつくることと飲むことをこよなく愛する若手ホープ。
全国発酵食品サミットin横手
徳山鮓代表 徳山 浩明 氏
滋賀県伊香郡余呉町出身。滋賀県で「鮒鮓」を代表する伝統食「熟鮓」をつくる。
全国発酵食品サミットin横手
安藤⇒150年前から角館で味噌と醤油をつくっている。伝統的な商品の見直しも必要だが、商売人にとっては 売ることが大事。伝統食品を生かしながらも、お客様にとって食べやすい商品を開発している。

庄司⇒現代では日本酒の業界は大変苦戦している。食生活の多様化、若者の清酒離れなどが要因と考えられる。 現在は清酒を軸に発展的な商品作りに挑戦している。

小泉⇒今、食生活が大きく変化している。味覚にもその影響は出てきているのだろうか。

長沼⇒油を使った料理が多くなり、その強い刺激で味覚が鈍くなってきているようだ。幼い時の食生活は、 その人に大きな影響を与える。子供のころからできるだけ本物を教えることが大事だと思う。

小泉⇒私もそう思う。その経験はその後の人生の豊かさを決める。発酵食品や伝統食品はその意味で本物だと思う。

徳山⇒滋賀県でフナずしをつくっているが、地元の伝統料理でありながら、ニオイのきつさから若い人には敬遠されがち。 フナずしの魅力を知ってもらうため、若い料理人の前でつくる機会を増やしている。

荒木⇒ふぐの卵巣のヌカ漬けをつくっている。発酵についての情報発信が重要になってくるのではないだろうか。

小泉⇒そもそも食育とは大人に対してか、それとも子供に対して行なうものなのだろうか。

長沼⇒私自身はまず子供からと考えている。しかし、その子供を育てるのは大人であり地域。その連携が大事だと思う。 消費者と生産者との交流も大切。みな一丸となって食育に向かわなければと考える。こういう機会を増やして、 その意識向上を目指していきたい。

小泉⇒聞くだけでなく、聞いたら実践してみるのが大事。それぞれ地元のために頑張ってほしい。

全国発酵食品物産展
全国発酵食品サミットin横手
 開催期間中、日本全国の発酵食品が集った物産展も開催されました。会場には発酵食品のブースが所狭せましと 並べられ、訪れたお客様はそれぞれ味見をするなどして、自分の好みの味を見つけては買い物を楽しんでおられました。
 よこて発酵文化研究所が主催した発酵ご当地食の試食コーナーでは、福井県の「へしこ」(サバのヌカ漬け)や 東京都八丈島の「くさや」(くさや汁で漬けた干物)などの特徴ある発酵食品の試食が振舞われ、初めて食するという お客様も少なくなく、オイシイ!と驚きの声も聞くことができました。
 また、ドーム劇場前によこて発酵食品研究所の特設ブースが設けられ、発酵サミットに向けて会員の皆さんが 研究を重ねた商品が販売され多くのお客様で賑わいました。

酒蔵見学会
 「藩政末期から豪商の街にいきづく、贅と技の粋を凝らした内蔵群の一角を探訪」と題した酒蔵見学会には、 50名が参加しました。横手市増田地域は、江戸末期から昭和初期にかけて商人地主の街として栄華を極めました。 その時代に、財産の保存や接客用にたくさんの豪華な蔵が建てられました。内蔵とよばれる蔵が今日でも数多く残り、 クラシカルなまちなみからは、豪商の息づかいを感じることができます。
 今回の見学会では、横手市増田地域の酒蔵と内蔵を見学。内蔵では樹齢数百年のケヤキなどの木材を使った豪華さ、 そして漆塗りで現在でも素晴らしい輝きを放つ内部には参加した皆さんは驚いた表情で、「すごいすごい」という声が あがりました。
 酒蔵では日本酒の製造工程の説明を受け、試飲までさせていただき清酒の奥深さを堪能しました。
その後、平成19年度にオープンしたばかりの「まめでらが〜道の駅十文字」を見学。「まめでらが〜」という意味は 秋田弁で「元気にしてらっしゃいますか〜?」という意味ですとの説明がありました。道の駅では地域の農産物に触れ、 食と農のまち横手を体感することができました。

全国発酵食品サミット宣言
全国発酵食品サミットin横手
 物産展への来場者も含め、1万5千人を超える方々が訪れた今回のサミット。閉幕にあたり、 よこて発酵文化研究所会員で発酵食品の商品化・発酵食文化の発展に積極的に取り組んだ22の団体・個人に 奨励賞が送られた後、五十嵐忠悦横手市長が「全国発酵食品サミット宣言」を発表し全日程を終了しました。 今回のサミットが地域に根ざす伝統食の浸透と産業の発展に寄与するものと期待されます。全国に先駆け、 初めて『発酵食品』をテーマとした本サミットにお越しいただいた皆様、また、開催にあたり多方面で ご支援ご協力をいただきました皆様に、この場をお借りして厚くお礼申し上げます。 今後も横手市が推進しております『食と農からのまちづくり』の一環である『発酵文化のまちづくり』を 応援いただきますよう、よろしくお願いいたします。

全国発酵食品サミットin横手

レポーター:加藤(さ) 佐藤(よ) 戸巻(た)


 
横手市「食と農」からのまちづくりプロジェクト
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