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横手を売り込むためには物語の幹となる考えが必要

 五十嵐市長が秋田市出身の脚本家・内館牧子さんと『食と農からのまちづくり』をテーマに対談を行いました。 横手やきそば〞の切り口から、横手の食文化と今後のまちづくりを考える今回の特集。その締めくくりにふさわしく、 味〞と実り〞のあるお話をお聞きできました。


横手やきそばは人気絶大

進行役
 横手市では、食文化から地域の活性化につなげていこうと「食と農からのまちづくり」という取り組みをしています。ぜひこの取り組みを多くの人に知って、応援していただきたいと思っています。

内館さん
 今「横手」というと、やきそばの人気がすごいですよね。

市長
 B‐1グランプリの影響ですね。


内館さん
 それだけでもすごいことだと思います。なかなか、そういうもので名前が売れないですから。

進行役
 こちらにもそういう情報は伝わっていますか。

内館さん
 もちろんです。テレビでもずっと放送されていましたから。

市長
 やきそばは戦後に生まれた庶民的な食べ物で、子どものための食べ物だったものです。ラーメンが1杯50円の時代に、並やきそば〞が20円で値段が手頃だったんですね。

内館さん
 私、3回ほど横手に行ってるんですよ。真夏でもかまくらが見られる…。

市長
かまくら館に行かれたんですか。


内館さん
 はい。2回は仕事で、1回はプライベートで。その時に「とにかく、かまくら館を見よう」と。その頃は、やきそばはまだ騒がれてなかったですね。



食と農から の取り組み

内館さん
 いろんな資料を拝見したんですが、「食で学んで、楽しんで、潤う」という取り組みはよく分かったんですけど、市としては具体的にどんなことをやっているわけですか。

市長
 マーケティング推進課を設けて、横手の特徴である農産品や農産加工品を売り込んでいます。ただ売り込むだけじゃなくて、それを通じて相手方から品質や価格に対する要望をお聞きし、さらにそれを生産者の皆さんにフィードバックすることによって、地域の農業振興につなげていきたいと思ってがんばっているところです。

内館さん
 ターゲットはどういう人たちですか。

市長
 例えばレストランや飲食店、そういうところに商品を納めている卸業者や商社、あとは百貨店などです。

内館さん
 それは、お米だったり、りんごや桃だったり…。

市長
 そうです。市内で穫れるありとあらゆるものを。

内館さん
 シシリアンルージュは、美彩館で売っていましたので、買いましたよ。少し高いですけど、皮がプリップリでとても美味しかった。

市長
 これは、シシリアンルージュを使ったトマトピューレのジュースです。

内館さん
 こんないいものがあるんですか。市長、横手はちょっと宣伝が下手ですよ(笑)。正直言って、横手がりんごの生産量で秋田県内一だなんて、このパンフレットを見るまで知りませんでした。横手というとやっぱり「やきそばとかまくら」なんですよ、今のところは。

市長
 確かに、食も農もどこにでもあることなので、新しい切り口やキャッチフレーズが必要だと思っています。




やきそばの次をどうするか

内館さん
 秋田のお米はすごく美味しいと思うだけに、これを上手に売らないと。レストランに売り込むことも大事だと思いますが、レストランでライスを頼んだときに、それがどこのお米かは私たち分からないわけです。だから、横手の美味しいお米を売り込むのであれば、一般の消費者に買ってもらうようにしないとだめですよね。

市長
 確かにそうです。ブランドとして指名してもらえるようにね。

進行役
 今のお米の流通は、生産者の方々が農協に出荷して、農協がそれをまとめて売るので、横手産ではなく『秋田の米』として売られているわけです。


市長
 農家は作るのはプロですが、どう売るかが課題です。

内館さん
 でも、やきそばがここまで全国区になって、きっと他の地域から見たら羨ましいことでしょうけど、実際に横手に行って、横手のまちでやきそばを食べたことのある人は少ないと思うんですよね。


市長
 何とか横手に来ていただくような仕掛けを考えているんですが…。

内館さん
 横手って確かに不便ですけど、不便だとか諸々のマイナス要素が売りになる時代でもあるわけです。南国なら熱暑も売りになるし、島なら1日に1本しかないバスも、のどかだと喜ばれる。私、以前に二ツ井町の丸岡町長に『吹雪マラソン』を提案したことがあるんです。そしたら町長、「何ぼ何でも、危険だすべ」って(笑)。 。


市長
 新しい取り組みにいろいろと挑戦してまして、例えばこれなんか…。

内館さん
 パンですか。


市長
 これ、しいたけなんです。

内館さん
 えっ!カレーパンかと思った(笑)。

市長
 大きいでしょう。ぜひステーキにして食べてみてください。こういう特徴のあるものをいろいろと作って、どんどんアピールしていこうと思っているんです。


内館さん
 横手の売りのメインは、農産物になるわけですね。

市長
 そうです。米を含む農産品とその加工品ですね。素材は一級品なので、それをどう加工して売り込んでいくかが大事だと考えています。




物語は真ん中の幹が大事


内館さん
 何で売るかというコンセプトは大事ですよね。NHKの大河ドラマなどでは、脚本を1万枚書くんですよ。その際に、まず「この1万枚の内容を1行で言えるか」って考えるんです。「毛利元就」であれば「何の取り柄もなかった武将が58歳という遅咲きで咲いて中国地方を制した話」というように。これが真ん中に一本の幹としてあれば、その間にどんな枝葉のエピソードがあろうと、登場人物が何百人出てこようと、全部のストーリーがここからぶれない。これがキチッとしてないと、見る側はわけが分からず、俳優さんも演じられなくなる。

市長
 なるほど、確かにそのとおりですね。

内館さん
 それと同じで、横手市が何を目指して、何をどう売ろうとしているのか、幹を具体的にするべきだと思います。私が思うには、やきそばは枝葉の部分で、枝葉が先に売れてしまった…。でも、枝葉が茂るのは大きな力になる。だから、その幹が農産物だというのであれば、その中の何を、どう売りたいのか。それを一口で言えないと、大河ドラマならぶれて失敗する。

進行役
 横手産といえば第一が米で、次がりんご、その次がしいたけなんですが、全体的に市民が活性化するような幹になるものとなると、難しい部分があります。

内館さん
 しいたけはダイエットにいいし、女性が飛びつくんじゃないかしら。

市長
 健康や環境にいいものは人気がありますからね。

内館さん
 それにりんごでしょう。ダイエットにいいものばかりですよ。それに今、玄米の人気が復活してると言いますからね。発芽玄米のお粥なんかいいと思いますけどね。




発想しだいで素材は光る


内館さん
 方言も使えますよね。パンフレットに「ままけ、まま」って、これは面白いですよ。

進行役
 それは農協の青年部の人たちが書いたんです。最近、若い方たちがすごくやる気を持って取り組んでいます。

内館さん
 すごくいいと思います。東北のことばが日本で一番短いっていいますよね。「け」「く」みたいな。「ままけ、まま」なんて本当に雰囲気がある。

市長
 雰囲気も大事ですからね。

内館さん
 これ(とまと大福)も美味しいんですよね。私も時々お土産物として買うんですけど、パッケージのデザインがいいですよね。

市長
 アイデアがひらめいたんですよ。甘いものもいいかなと。

内館さん
 結構売れているんじゃないですか。あまり高くないですし。食べやすい大きさでお洒落だし、ちょっとしたお土産にちょうどいい。でも、これもお米に比べたら薄利だし、売れる量も決まってますよ…。

市長
 はい。内館さんがおっしゃっていたお粥のように、加工して売るというのもいいかもしれませんね。

内館さん
 こういうの(シシリアンルージュのトマトピューレジュース)でお粥を炊いてもいいですよね。

市長
 「トマトリゾット」ですね。ヘルシーだし、トマトもお米も売れますしね。

内館さん
 『とまと大福』のパッケージくらいお洒落にして、発芽玄米と白米のお粥やトマトリゾットを販売したら、すごく売れるような気がするんですけどね。実際に、私の友達であきたこまちのお粥の缶詰をリピーターで買っている人がいますよ。1食200円以内で買えればいいんですけどね…。

市長
 二番煎じじゃない「横手ならでは」を、どう見つけていったらいいんでしょうか。

内館さん
 横手は何でもあって豊かなんですよね。とりわけ農産物の中で、一番売れてほしいのはやっぱりお米ですよね。

市長
 それはそうです。何といっても量が違いますから。面積が大きいですからね。

内館さん
 これだけいろんなものが豊かだと、かえって難しいのかもしれませんね。

市長
 枝葉はいっぱいあるんです。でも、幹が見えてこない。

内館さん
 幹を作るのは市長とそのブレーンだと思いますよ。

市長
 そうですね。責任重大です。

内館さん
 当然です!って、私もこんな朝青龍を怒るような怖い目で、市長を睨みつけたりして…(笑)。でも、大変だけどやりがいのある大仕事ですよね。

市長
 そのとおりですね、がんばります。いい素材はいっぱいありますから




横手での再会を誓って


内館さん
 横手にもまた行ってみたいですね

市長
 ご招待しますので、ぜひ横手にいらしてください。それで、横手を売り込むコンセプトがひらめいたら嬉しいなと思っています。

内館さん
 責任重大だなぁ(笑)。何とかひらめかせないと。

市長
 ありがとうございます。よろしくお願いします。


進行役
 ぜひこれから横手を応援していただきたいと思います。今日は本当にありがとうございました。





 
横手市「食と農」からのまちづくりプロジェクト
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